日本たばこ産業。
たばこを吸い税金を納めるか。たばこに投資をして配当を得るか。確かこのような文言が以前読んだ本に書いてあったので、今回はJT株について分析してみたい。
そもそも昨今喫煙率が減ってきているといわれているが実態はどうなのだろう。
日本では喫煙者は17.9%。5人に1人未満に減少している。
喫煙率の低下に伴い、JTのたばこの販売量も右肩下がりに減少。毎年10%強のペースで販売量が減少している。イメージ通り日本におけるたばこ市場は減少しているのがわかる。(ただしその分電子タバコ分野が増えている)
◆JTの状況
ではJTの最近の売り上げを見てみたい。国内市場の縮小とともに、売り上げは減っているのか。
売り上げは横ばいで推移。
JTの事業比率をみると、国内の比率は30%程度しかなく、半分以上海外たばこ事業が占めているのである。
1999年に米国RJRナビスコ社の米国市場以外のたばこ事業(RJRI)を買収。
2007年には、英国ギャラハー社を買収。ヨーロッパ、ロシアなどの市場に加え、多くの有力ブランドを獲得。
2016年に、Natural American Spirit(ナチュラル・アメリカン・スピリット)米国外たばこ事業の買収。
2017年は、フィリピンにおけるマイティコーポレーションの資産・知的財産権を含むたばこ事業の取得、インドネシアにおけるクレテックたばこ(香辛料として用いられているクローブをたばこ葉に混ぜた製品)会社および流通販売業者の買収、エチオピアのたばこ会社であるNTE社への追加出資。
と、海外たばこメーカの買収により企業規模を拡大している。
◆JT株の魅力
・高い利益率:25%付近の高い利益率を安定的に稼ぐたばこはすごい。
・高い配当率:19/4月時点での予想配当率が脅威の5.65%。とっても魅力的。
◆JT株のリスク
・日本国内の市場の急速な縮小
10%/年の縮小を海外で補い、かつ成長していくことはできるのだろうか。
・ 為替リスク
特に新興国通貨安は経営にインパクトを与えることから注意が必要。(イランリアル、トルコリラ、ロシアルーブル)
・国内外の訴訟の動向
集団訴訟の控訴審判決でカナダ子会社へ約1480億円の支払い命令。上告も検討中。
・たばこに関する国内外の法令規則による規制等の導入・変更
・医薬事業の抗HIV薬6品の国内におけるライセンス契約の解消
結論
JTはたばこというドル箱と高い配当が非常に魅力的だが、外部環境が厳しく安定的な成長は難しいと考える。
特に増税・為替リスク・訴訟など自社ではどうにもできないリスク・それも経営にインパクトを与えるものがはっきりしている以上、なかなか手が出せない。
PBRも1.86倍とそこまで割安感がないこともマイナス要因。
ただ、配当に魅力がある企業なので、引き続き状況は見ていきたい。
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